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2007/03/08

壁画修復師

ひさしぶりに小説を読みました(最近、ハウツー本、実務本ばかり読んでたので…)。

直木賞作家 藤田宜永の 壁画修復師 です。

この本を知ったのは、NHK FMラジオの「ポップスライブラリー」という番組。

(残念ながら今はやってません。小説やエッセイの朗読と音楽からなる上質な番組だったのに!)

ずっと読みたいと思っていたのですが、やっと図書館で巡り会えました。

日本人の壁画修復師が、フランスの田舎の教会で中世のフレスコ画を修復している。そこで思いがけず、フランス人の様々な人間模様(親子、友人、夫婦、恋人…)を垣間みることになり…という物語が5編おさめられています。

一編一編が、フランス産の赤ワインのように味わいがありました。

全体を流れているのが、「静けさ」と「ゆったりした時間の流れ」とでもいいましょうか。あとは孤独。というより「ソリチュード」のほうがぴったりかな。

登場人物がみなそれぞれ、秘密を持っていて、それを日本人の壁画修復師(アベ)に打ち明けに来ます。アベと他の登場人物の距離感が程よいと感じました。

フランス語が堪能といえども、通りすがりの日本人であるアベに、大事な秘密を打ち明けるフランス人たち。そして、アベは、打ち明けられた人間関係に深入りせず、自分は壁画修復師にすぎない、と与えられた仕事に打ち込みつつ、人々の心の動きをしっかり見守っている…アベ自身も、重たい過去の秘密を背負っているのですが…

セラピスト(心理療法家)とクライエントの関係にも通じるものがあるように思いました。ひとりになって自分の心としっかり向き合うことができる人だけが、他者の心にもしっかりと向き合うこと(聴くこと)ができ、適度な距離を保つことができる。そこで生まれる心の交流が、クライエントに癒しや和解をもたらす…私の理想ですね。

ほかにも、フランスの田舎の風景描写や、珍しいフランス料理もいろいろ出てきて楽しめる小説。おすすめです♪

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コメント

本との出合いってありますね。僕も最近、1冊の小説に出会いました。小手鞠るいさんのサンカクカンケイという本です。恋愛小説なので、深遠なものはありません。ただ、舞台の土地の空気が見事でした。東京、京都、岡山、主人公の成長の過程が土地の思い出と結びついているのです。さて、僕にとって心理的距離というのは難しいです。(笑)

まきとさん、こんにちは。土地の空気ですか〜、そういうものを言葉に置き換えることができるって、やはり、小説家はすごいなと思います。

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