我が家の娘は小学3年生になりました。いままで、「しつけ」に関する本は、結構手当たり次第、読んできましたが、小学生になると、親子の関わりのなかに、「学習/学力」というものが入り込まざるを得なくなりますよね。塾に行き始めたという友だちもちらほら…
加えて、メディアでは「学力低下」とか、「ゆとり教育の見直し」とか、公教育への不信感をあおるような報道がなされ、親としては、何を信じ行動すればいいのか不安になる…こうした背景から、「家庭で学力をつける」みたいな本がどんどん出ているような感じを受けます。
ということで(前振り長かった?)、「家庭と学力」を得意とする代表選手の本を3冊読んでみました!(すべて、アマゾンの詳細ページへリンクしてます)
1)和田秀樹 著 勉強できる子のママがしていること 12才までの家庭教育マニュアル
2)隂山英男 著 学力は家庭で伸びる―今すぐ親ができること41
3)汐見稔幸 著 学力を伸ばす家庭のルール―賢い子どもの親が習慣にしていること
まず、1)は、精神科医で、なぜか受験指南本も多い著者。
ここだけの話ですが(笑)、私的には★☆☆☆☆(星ひとつ)でした。著者の主張「学歴ではなく、学力が大切」「中学受験は、合格を目的とするよりも、勉強好きになることを目的に」などには、なるほど〜
と。もっとも、学力とはなにか、という点はあまり明確でなかったように思いましたが。
しかし、「中学受験勉強」で得られる、「勉強好きであること」「こつこつ努力すること」が、「社会に出た時に非常に役立つ」というのは、どうなんだろう? と疑問がわきます。それも、将来役立つことの一部ではあるかもしれないけれど、小学生のときに他のものを犠牲にしてまで身につけなければならないとは私には思えませんでした。
ピンポイント的に参考になったのは、小学生のうちは、国語と算数だけ、きっちりやっておけばいい。理科と社会は嫌いにならなければよい。パソコンも英語も、ピアノもスポーツも、とくに必要ないのでは、というくだり。シンプルでいいなと(笑)。もっともこれは、中学受験が前提なので、うちはあまり関係ないか(笑)。
2)は、百マス計算で有名な隂山先生の本。(★★★☆☆)
「学力」をつけるために親ができることの具体例が41も書かれていて、実用的。早寝早起き朝ご飯を始め、音読、図書館、博物館、地球儀、地図、お手伝い、環境問題、親子の会話…などなど、子どものために、なにかやりたい、やってあげたい、という親御さんには良い本だと思います。
ただ、「なんのために学力を?」という目的の部分が書かれていないのが残念でしたね〜。それから、上に述べたようなことをすべて親が「やってあげる」こと、用意してあげてしまうこと、が果たしていいことなんだろうか? 子どもの自主性はどうなるんだろう?と疑問がわいてきました。なので★みっつ。
3)は、塾の教師や、中高の校長の経験もある、教育学者で、テレビ教育番組の監修なども手がけている汐見氏の本。(★★★★★!!)
この方を以前テレビで拝見して、押し付けがましくなく、バランスがとれていていいなあ〜と思っていたのですが、この本もとてもよかった! 学者だけに理屈っぽい(理論的な)ところもあり、ハウツーというよりも、基本的な考え方/価値観について多くのページが割かれています。なのでタイトル(学力を伸ばす家庭のルール)とはかなりずれがあるという印象…もっと哲学的な本だと思いました。
まず、前提として、「人間の育ち全体を考え、その上で、学校で何ができるか、家庭で何が必要かを考える」という視点があります。
また、学力の定義が一般的にはあいまいなまま論議されているのが現状であること、教育学では知的能力には二種類あることと考えられること、「学力低下」報道のきっかけとなったOECD調査のことも詳しくかいてあり(恥ずかしながら初めて知りました)、いたずらに親の不安をあおったりせず、誠実な感じを受けます。
私が2)の本で疑問に思った点にもちゃんと触れられていました!
「知的能力」をつけることの目的、それは生きる目的そのものと読めるのですが、「他者のために自分の能力を生かすこと」「自分の弱さを認めながら、弱さをもった他者と共に生きること」だと…。影響力を持つ立場にある人が、こういうことをはっきり語ってくださることに感銘!
また、子どもの自主性(自分で考え選択する力)を伸ばすためには、子どもに興味を持ってほしいことを親は提示することはしても、押し付けてはならない、後ろからついていってやるぐらいがよいと。
目的とか理想だけでなく、現実的なこともたくさん書いてあります。
学校の担任や管理職への注文のつけかた、話し合い方、中学受験の考え方、子どもへの説明の仕方も書いてあって目から鱗です。「大人になるハードル」として受験を「利用」するという考え方や、中学入学後に気をつけるべきことなどもていねいに書かれているので、受験を考えている親御さんはぜひ読んだらいいのではと思いました。
「知性の源は対話能力」とのことで、親子の会話/対話の仕方についても具体的に書かれています(上記2冊も「会話しなさい」とは書いてあるのですが、具体的方法にはいまひとつでした)。「親は子どもから言葉を引き出すことが必要で、それには訓練がいる」と。会話の少ない我が家にとって(笑)、とても参考になりました!
ほかにも、読書の環境をととのえること、本物の体験をさせること、身体で感じることの大切さや「知的体力」など…。
あ、長くなりすぎましたね…とにかく、この本と出会えて感謝!
あとは、斎藤孝さんの本をよめば、完璧かな!?
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