こっちで宣言した翻訳、「どうなってるの?」という声もちらほらきこえ…(笑)、ただいま2章の終わりぐらいまで来ました。最近、以前にもまして、肩から首にかけてが痛いので、パソコン作業は減らしつつあり、ペースが遅れております(←言い訳)。
今日は1章の要約をどうぞ。英語がわりと易しいので、興味のある方は原書を読まれたらいいかと思います。 (出版の予定はないですので…)
1章 女王と殺し屋 ー圧迫と自己解放ー イタリア
【あらすじ】
昔あるところに、王と王女が暮らしていた。けちな王は、娘を結婚させまいと、塔に閉じこめていた。そこへ「殺し屋」が現れ、塔によじのぼって、窓から王女の姿をのぞきみるようになった。王女が訴えても、王はその話を信じようとしなかった。ある晩、殺し屋は、王女の窓に手を差し入れ、王女は恐怖のあまり、剣でその手を切り落としてしまう。男は復讐を誓い、去っていく。
しばらくすると、立派な身なりの外国の男が城をたずね、王女に結婚を申し込む。持参金は不要ときき王は承諾し、いやがる王女を結婚させる。王女の直感通り、その男は「殺し屋」だった。海の見える殺し屋の家で、王女は外の木につながれる。男が不在のとき、王女は助けを求め、綿商人の船に助けられる。男は商人の船を追ってくる。あやうくみつかりそうになるが、なんとか逃れ、王女は、商人の老夫婦に娘として引き取られる。
その家で王女は人に会いたがらず、老母とともに家で刺繍をする。老母がそれをその国の若い王のもとに持って行ったのがきっかけで、娘(王女)は王と結婚する。結婚して女王になったが、彼女は国民の前に出たがらない。しかし国民の不満がつのり、王に請われて女王は城の窓辺に立つ。そこでみたものは、「殺し屋」の姿だった。それ以来、女王は病気になり寝込んでしまう。
何日かたって、ある貴族が王に面会を求める。王と親しくなり城の宴会に招かれた男は、ワインに薬を入れ、城中の者はみな眠ってしまう。起きていたのは、女王だけだった。貴族は「殺し屋」だった。殺し屋は女王の居場所をつきとめ、彼女を殺すと言う。しかし、水、石けんなどを持ってくるようにいう。女王は、夫である王を起こすが王はぴくりともしない。覚悟を決めた女王は、夫の懐から拳銃を持ち出し、殺し屋のいる部屋へ戻る。男が剣を振り上げた瞬間、女王は男を撃つ。その音で、王と城の者は目覚める。彼女は恐怖から解放され、王とともに幸せに暮らした。
【解説】
父親である王は、多くの文化にみられる社会的因習ー女性への抑圧を表している。「殺し屋」は、王の「影」(シャドウ)でもあり、王女のネガティブなアニムス像(男性像)とみることもできる。それは、王女の抑圧された怒り、攻撃性でもある。
女性にとっての結婚を、監禁、屈辱、追放、死などと意味づける物語は多い。現代女性は、外ではキャリア、自己主張を求められ、一方で、母性、養育者であることを求められ、引き裂かれている。
王女は、性的虐待やDVなど、トラウマを抱えるすべての女性を象徴している。絶望し、引きこもり、自殺を図ろうとする。王女の取り組むべき課題は、自分の怒りやフラストレーションを、自己にではなく、社会の因習や虐待的な人間関係という真の原因に向けることである。
王女は老夫婦の家で暮らし、老母とともに刺繍をする。それは内的な仕事であり、これまでの出来事の意味を思いめぐらし内なる声を聴くときであり、同時に女性たちの連帯を生み出す。
新たな夫、若い王は、女王の成長を支えるが、決定的な解決にはならない。過去の関係が、新しい関係にも影響している。「殺し屋」をみた女王は病気になる。女性は男性より病気になりやすが、それは、女性に対する文化的な抑圧や低くみられるストレスと関係している。
女王が殺し屋を自分の手で殺したことの意味、それは、父親との対決、その影響力を断ち切ったこと、そして、男性的な攻撃性とエネルギー(自己主張することを含め)を回復したことを意味する。女性がそれを回復するのは、中年期に始まる。それをしないと、晩年になって抑鬱や不幸の感覚に見舞われる。
女性にとって、男性の暴力性や攻撃性を非難することは簡単であるが、それだけでは解決にならない。社会の影と同時に、自分の影、内なる野獣と向き合わなければならない(男性もしかり)。女性が自己主張を取り戻すと、それは社会の変革をももたらす。
【ゴリの感想】
第一話から重たいテーマで…参りました(笑)。原書では「解説」が非常に事細かになされているので、全部紹介できず残念です。
一般的な話になりますが、幼い頃、周囲から女の子としてどう扱われたか(みられたか)が、大人になってからの女性としての自信、パートナーとの関係などに少なからず影響することは確か。
男性に幸せにしてもらう人生も素敵だが、葛藤を先送りしているだけの場合もあり、行き詰まるかも。仲間に支えてもらいながら、自分の影と向き合い、抑圧していた攻撃性(アグレッッション=活動性の意味も)を建設的な自己主張という形で出していくことは、女性の心身に幸福をもたらす…著者の理解に深く共感しました♪
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