読み終わりました!! (BOOK1 BOOK2の感想は こちら)
楽しめた〜 飽きさせないし、とっもよくできたストーリーだと思いました。
一応きれいな終わり方をしているけど、これだけ壮大な物語に展開しておいて、結論はこれ!? という気がなきにしもあらず。続編がないともったいない〜と思ってしまいます。まだ 解決していないテーマもあるし…(そこが村上春樹らしい!?)
純粋なラブストーリーとしても読めると思うけれど、この作品は、「宗教とはなにか、神とはなにか、神でないものとはなにか、神と人間のつながりとはどういうものか」についての著者なりの見解なのでは?と思いました。
そしてそれは、きわめてユング(心理学者カール・ユング)に近い考え方。
「冷たくても冷たくなくても 神はここにいる」
これは、ユングの建てた石作りの家(塔)の扉に刻まれているのですって。(この本の中に書いてありました)
人間は、神なるものの「声」を聴く人(預言者)になることができ、また、神の意志を表す「通路」として使われたりもする… とこの本では描かれているように思います。
あと、この物語では、めずらしく、主人公らの生育歴、家族背景などが細かく描かれていることに驚きました。そして、もっとめずらしいことも… !! それは読んでのお楽しみ♪ということで〜
そうそう、主人公 天吾の父親のキャラクター(NHKという宗教の信者なのでしょう)、元弁護士 牛河というキャラクターもすごく印象的。この二人の死の描き方がなんとも対照的でリアルでした・・・
村上春樹作品の主人公たちは、みな、組織や共同体(会社、学校、家族…)に強い帰属意識を持たない(かかわりが薄い、コミットしない) ポストモダンな人々。
この小説でも、「宗教教団」に属する人々と、主人公ら組織に属さない人々との対比がはっきりしています。
そして、「宗教教団」の弱さ、無力さが描かれ、「宗教」でさえ、「宗教教団」なしに成立するのではないかという著者のメッセージが聴き取れるような気がしました。個人が「神」なるものに直接につながるという、ポストモダンな「宗教」のあり方。
でも、まったくの個人ではなく、ふたり、そして、三者関係(家族)が「宗教」の基盤になる…というような予感がする作品ではないでしょ〜か…
BOOK4はいつ出るのかな〜 待ち遠しいです!
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