【BOOK】思春期をめぐる冒険ー心理療法と村上春樹の世界ー
![]() |
思春期をめぐる冒険―心理療法と村上春樹の世界 岩宮 恵子 日本評論社 2004-05 by G-Tools |
臨床心理士(カウンセラー)の岩宮恵子さんの著作です。
村上春樹の小説を、おもにユング心理学をベースにした心理臨床(カウンセリング)の視点から読み解く意欲作。
カウンセリングの過程を、村上春樹の小説から読み解く、ともいえます。
たくさんの村上作品〜羊をめぐる冒険、ダンス・ダンス・ダンス、ノルウェイの森、ねじまき鳥クロニクル、スプートニクの恋人、海辺のカフカなど〜が取り上げられています。
いや〜すっごくおもしろかった!
著者(というかユング心理学?)独特の言葉、「異界」「あちら側とこちら側」「見える身体と見えない身体」 といった用語や世界観が大丈夫な人にはお勧めです(笑)。
とくに感動したのは、「入り口の石」という章。わかる方にはわかると思いますが、海辺のカフカのモチーフです。ここを読んで、海辺のカフカの、よくわからなかったところが、すっごくクリアーになってしまいました。こんなにクリアーで、いいのかな?と思ってしまうぐらい(笑)
なぜ、「あちら側」に行かなくてはいけないのか、その意味も分かりましたし、「あちら側」つまり異界への「入り口」開くときの状況は、「強い結合と暴力と血が必要とされる」 というところにも、ほう〜っと。そういえばこれは、スプートニクの恋人にも出てくるモチーフでした。(これって聖書の世界にも通じるかも?とか連想。)
そして、「ゆるしと血」というテーマも。
人生で起こる、とりかえしのつかないできごとのすべてをゆるし、生き続ける意思をもつこと、それは、世界全体が息を吹き返していくことにつながる…
というくだりに、感動。(ここだけ読んでも意味不明ですよね…)
村上春樹好きな方には、おすすめです!これを読んで、また春樹作品を読み返したくなってきました!
そして、岩宮先生には、1Q84についても書いていただきたいな〜と思った次第です。
最近のコメント