ふつうの女性が逸脱するとき。。。
直木賞作家の女性ふたりの小説を読みました。角田光代さんと辻村深月さんです。
角田さんのほうは、作家としては先輩ですし、クオリティも高いと思いますが、
20〜40代の女性が主人公で、たんなる恋愛小説ではないというところで、テーマも似ていると思います。私はどちらも好き☆
まずは、角田さんの「紙の月」 (ネタばれあり)
引き込まれて一気に読んでしまうほど、面白かったです!
主人公の女性(41歳・銀行の契約社員)が1億円の横領で指名手配されるところから物語はスタート。
高校時代にまでさかのぼって、そこから彼女とその友人たちの軌跡がたどられます。
裕福な家庭に育ち、宗教系の私立女子中高で過ごし、短大を経て、堅実な会社員と結婚。平凡だけど、過不足ない「幸せ」を手に入れたかにみえた梨花の人生に何が起こったのか。。。。
小さなきっかけが、取り返しのつかない大きな事態に発展する、そのプロセスが見事に描かれていると思いました。
一線を越えるって、最初は小さな事から始まるのかもしれない。
ストレスや葛藤も、小さいことの積み重なりであって、放っておくと大変なことになる。。。
そんな怖さをリアルに描いている、かな!?
主人公に、疑問を抱かないわけではないけれど、なぜか共感してしまう女性が多いのではないかな?と思います。
一言で言ってしまえば、依存症とか、お金の怖さなどもテーマ。
主人公の元友人たちの、お金とのつきあい方も、それぞれですが、誰しも身に覚えがあるかもしれないです。
お金に関していえば、ほとんどの人は家庭以外では何の教育も受けず、いきなり社会人になって、自由に使えるお金を手にするわけで、
育った家庭でのお金の使い方や価値観が、家庭を持ってからもすごく影響する。。。ある意味怖いことですよね。
主人公の逸脱行動は、自分では止められないところまで来てしまい(この辺、「八日目の蝉」と似ています。。)
「いっそ見つかってほしい」 「誰か暴いて」 「誰かここから出して」 という心境になります。
そして最後は。。。。!?
読んでのお楽しみに☆
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紙の月 角田 光代 角川春樹事務所 2012-03-15 by G-Tools |
それに比べると、辻村さんのほうは、短編5編で軽く読めます。
女性主人公の、夢や結婚や出産といった願望をめぐる、ちょっとした事件。
これも、逸脱、といえなくもないですね。
放火、誘拐、殺人、などというタイトルがついていて、ストーリーも明るいとは言えないですが、それほど重たくなく、ややシュールなのかな?
鍵のない夢をみる というタイトルが秀逸ですね〜 なかなか深い!
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鍵のない夢を見る 辻村 深月 文藝春秋 2012-05-16 by G-Tools |

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