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2013/11/27

小川洋子 人質の朗読会

またまた、素晴らしい作品に出会ってしまいました〜heart04

小川洋子さんの「人質の朗読会」。

表紙に惹かれて手に取ったのですが、大当たりでした。

ものすごく静かな物語なんだけれども、圧倒的な感動。 ひたひたと音もなく押し寄せる感動、というのでしょうか。。。

地球の裏側で、テロリスト集団に誘拐され人質となった日本人旅行者八人と、この朗読会を盗聴していた現地の特殊部隊の一人の語る、合計九つの物語。それが淡々と綴られている、それだけなのですが。

ひとつひとつが、不思議な巡り会いだったり、シンクロニシティを感じるようなある意味奇跡の物語で、深い味わいがあります。

読み進めるうちに気づいたのですが、語るひとりひとりの死や病気、喪失の体験とかかわりがあるのですね。グリーフ(悲嘆)プロセスの物語ともいえると思いました。

人質となり、自らの生と死を強く意識した場所にいるからこそ、自らの人生を思い起こし、そこに、生きることの不思議さやすばらしさと悲しみを想起し、きちんと書きとめ、「朗読会」という場所を作って、きちんと聞き手に聴いてもらう、という設定に意味を感じます。

物語は語られ、そして聴き手がいることによって成り立つものなのだなあと改めて思いました。

さらに、その物語は、人質たちが亡くなったのちに(救出に失敗して全員死亡)、盗聴していた特殊部隊の兵士からテープが遺族に渡り、それがついにはラジオ番組になったという設定。そのラジオの聴き手が私たち読み手でもあり、二重、三重のグリーフプロセスになっている。。。というすごい構造なのでした。

物語は全部よかったですが、とくに、「第三夜 B談話室」と「第六夜 槍投げの青年」がとくに気に入りました。

もし、いま、自分が「人質」の方々と同じ立場に立ったら、どのような物語を語るだろう。。。読み終えて深い感動とともに、そんなことも考えたり。

 

「今自分たちに必要なのはじっと考えることと、耳を澄ませることだ。しかも考えるのは、いつになったら解放されるのかという未来じゃない。自分の中にしまわれいてる過去、未来がどうあろうと決して損なわれない過去だ。それをそっと取り出し、掌で温め、言葉の舟にのせる。その舟が立てる水音に耳を澄ませる。(中略)そういう自分たちを、犯人でさえも邪魔はできないはずだ」

 

「物語は、誰のなかにもある」 帯の言葉に大きくうなずきながら、名残惜しく本を閉じました。

 

4120041956 人質の朗読会
小川 洋子
中央公論新社  2011-02


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