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2015/03/15

梨木香歩 海うそ

梨木香歩さんは大好きな作家のひとりですが、

久しぶりに読みました。
 
「海うそ」
 
うわ〜すごい、さすが梨木香歩さんだな〜と思うような、彼女らしい作品だと思いました。
 
(以下ネタバレありです)
 
遅島という、南九州の小さな島に訪れた人文地理学の研究者秋野の一人語りの小説です。
 
秋野という男は明治生まれ。
著者がその男性の語りを書けてしまうというところにまず感動してしまいました。
 
いまは使わないような語彙、格調高い美しい日本語。
 
作品の9割は、戦前、秋野が訪れた、遅島のフィールドワークの記録のようなものです。
 
秋野の性格の現れか、非常に正確で、丁寧であり、静謐で、感情表現が控えめな文章になっています。
 
そして、あとの1割は、いきなりそれから50年後(昭和の終わり、バブルの頃)に飛んで、秋野が再び遅島を訪れ、ある経験をするところで終わります。
 
この島は、かつて修験道の霊山があり、
地形、植物、動物、人々の暮らし、食べ物、言葉、地名、歴史、などなどが綴られています。
海と山、暗闇、洞窟、川、そして、廃仏毀釈で破壊された寺院の跡地。。。
秋野が、その島の歴史に思いを馳せ、人々の心に想像を巡らせ、ていねいに書いた記録。
 
匂いや風や音や、湿気などが感じられるような文章です。
 
そして、タイトルとなった「海うそ」や、モノミミなどの言葉。。。その意味とは。。。
 
実は、秋野がここを初めて訪れたのは、婚約者を失い、その後、父母をあいついで失った直後でした。
 
遅島の自然や人々との出会いは、傷ついた秋野を優しく包むのですが、
それでも、破壊された寺院などを見るのは、秋野にとって堪え難いことでした。
 
そして、50年後、不思議な縁から、再び遅島に足を踏み入れた秋野が目にしたものは、
 
バブルの(とは書いていませんが)開発の波にのまれてしまった、変わり果てた島の姿。
 
それはまるで、廃仏毀釈のときに寺院が破壊されたように、こんどは、島全体の営みが、根こそぎ破壊されてしまったかと思えるような風景でした。
 
しかもその建設プロジェクトには、秋野の息子が関わっていたのです。。。
 
秋野の、大切な人を失ったという体験と、破壊された寺院や、破壊された島の自然や愛した民家の消失とが重なり、重苦しさは頂点に達するのですが、
次の瞬間、あることをきっかけに、それがみごとに反転する。。。
 
それは、読んでのお楽しみなのですが、そのへんの描き方も秀逸だと思いました。
 
とはいえ、その深いいやしの部分、若輩者のワタシには、実感としてはまだよくわかりませんが。。。
 
そして、この作品は2014年発行ですが、
2011年の震災をふまえて書かれたのではないかなと思いました。
 
彼女にとっての、3.11を物語化したものかもしれません。
愛する人を突然失うことや、かけがえのない暮らしが跡形も無く破壊されてしまうこと、そして遺された人はそのあとどう生きるのかということ。
 
著者なりのその答えが書いてあるのかもしれません。
 
そうそう、この作品のAmazonレビューには、すばらしい書評が並んでますので、ぜひお読みいただくといいかと思います!
 
4000222279 海うそ
梨木 香歩
岩波書店  2014-04-10

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それから、
これまた大好きな、伊坂幸太郎さんの「アイネクライネナハトムジーク」
 
作者あとがきにもあるように、いつもの伊坂ワールドとはひと味違う、
なんとラブストーリーなんですね☆  
 
(暴力とか泥棒とか、そういうのがありません。)
 
短編というか少しずつ重なっている連作が、5編。
どれも、おかしみがあり、軽く読めて、楽しめます☆
この中に出てくる「斎藤さん」というミュージシャン崩れの占い師?のような人がおもしろかった。
斎藤さんは、通りに座っていて、「1回100円」と書いた札を立てています。
お客さんがきて、いま困っていることや現状について話すと、それにぴたっとあった曲のフレーズをすぐに探し出して、自作の歌を流してくれる、
ときには、顔をみただけで、歌を選んでくれるのです。
 
いいな! 究極のカウンセラーですかね〜
 
 
4344026292 アイネクライネナハトムジーク
伊坂 幸太郎
幻冬舎  2014-09-26

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